サイディング外壁は、現代の住宅で広く採用されている外壁材です。
その耐久性とデザイン性の高さから、多くの住宅オーナーに選ばれていますが、適切なメンテナンスを行わなければ、その性能は徐々に低下し、見た目の美しさも損なわれてしまいます。

今回は、サイディング外壁のメンテナンスについて、その基礎知識から塗り替えのタイミング、適切な手法まで詳しく解説していきます。
住宅の価値を長期的に保ちたいと考えている方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

□サイディング外壁の基礎知識

サイディング外壁とは、建物の外壁に使用する建築資材のひとつです。
一般的にはセメント製のものや、金属製の外壁ボードを指します。

あらかじめ成形され、均等なサイズに仕上がったサイディングボードを、建物にあわせて現場で加工し、下地材に張り付けて施工された外壁をサイディング外壁といいます。
外壁の施工方法には「湿式」と「乾式」があります。
漆喰塗りやモルタル塗り、タイル張りで仕上げた外壁は「湿式」で、サイディングは「乾式」にあたります。

＊サイディングの種類と特徴

サイディングは、その素材によって様々な種類があります。
それぞれの特徴を理解することで、ご自宅に最適なサイディングを選ぶことができます。

1:窯業系サイディング

窯業系サイディングは、セメントと繊維質を混ぜて高温で焼成したサイディングです。
防火性、耐震性に優れ、デザインバリエーションも豊富です。
ただし、耐久性は他の素材に比べて低い傾向にあります。

2:金属系サイディング

金属系サイディングは、ガルバリウム鋼やアルミ合金、ステンレス鋼などの金属でできたサイディングです。
軽量で扱いやすく、耐久性も高いのが特徴です。
しかし、吸熱性が高いため、夏場の温度上昇が懸念されます。
また、水によるサビや腐食にも注意が必要です。

3:木質系サイディング

木質系サイディングは、木材を加工して作られたサイディングです。
温かみのある自然な風合いが魅力で、デザイン性にも優れています。
ただし、防火性に劣るため、防火指定区域では使用できません。

4:樹脂系サイディング

樹脂系サイディングは、プラスチック製のサイディングです。
耐久性、耐候性に優れ、軽量なので施工がしやすいのが特徴です。
しかし、認知度が低く、取り扱い商品数が少ないのが現状です。

＊サイディング外壁のメリット

サイディング外壁は、多くの住宅で使用されている人気の外壁材です。
その理由は、数多くのメリットがあるからです。

1:耐久性が高い

サイディングは、一般的な外壁材に比べて耐久性が高い素材です。
適切なメンテナンスを行うことで、長期間にわたって美観を保つことができます。

2: 軽量で施工がしやすい

サイディングは、他の外壁材に比べて軽量です。
そのため、施工が容易で、工期が短縮できるというメリットがあります。

3:デザインが豊富

サイディングは、様々なデザイン、カラー、素材があります。
ご自宅の外観に合わせて、個性的なデザインを選ぶことができます。

4:価格が比較的安い

サイディングは、モルタルやタイルなどに比べて、価格が比較的安価です。
コストを抑えたい方にとって、魅力的な選択肢と言えるでしょう。

＊サイディング外壁のデメリット

サイディング外壁には、いくつかのデメリットもあります。
メリットとデメリットを比較検討し、ご自宅に最適な外壁材を選びましょう。

1:メンテナンスが必要

サイディングは、他の外壁材に比べて耐久性が高いとはいえ、メンテナンスは必要です。
定期的に塗装やシーリングのメンテナンスを行うことで、サイディングの寿命を延ばすことができます。

2:劣化すると張り替えが必要

サイディングは、経年劣化によって、ひび割れや剥がれが発生する可能性があります。
劣化が進行すると、塗装だけでは修復できず、張り替えが必要になることもあります。

3:素材によって特性が異なる

サイディングは、素材によって特性が異なります。
例えば、窯業系サイディングは、吸水性が高いため、雨水の浸入を防ぐために定期的な塗装が必要です。
金属系サイディングは、サビが発生しやすいため、適切なコーティングが必要です。
ご自宅に最適な素材を選ぶためには、それぞれの特性を理解しておくことが重要です。

□サイディングを塗り替える適切なタイミング

サイディングは、定期的に塗装することで寿命を延ばせます。
塗装の周期は7年、サイディングの寿命は15～20年が目安です。
ここでは、サイディングの劣化の進行と塗装時期を時系列で見ていきましょう。

1:シーリングの劣化

シーリングとは、サイディングボードの継ぎ目を埋めるための材料です。
シーリングが劣化すると、雨水がサイディングボードの内部に浸入しやすくなり、サイディングの腐食やカビの発生につながります。

シーリングの劣化は、新築から3～5年で発生することが多いです。
シーリングに亀裂やひび割れ、剥がれが見られる場合は、早急に補修する必要があります。

2:チョーキング

チョーキングとは、サイディングの表面に白い粉が付着する現象です。
サイディングを触ったときに、手に白い粉が付く場合は、チョーキングが発生している可能性があります。

チョーキングは、サイディングの塗膜が劣化し、紫外線や雨水によって塗料が剥がれ落ちた状態です。
チョーキングが発生すると、サイディングの保護機能が低下し、雨水や紫外線による劣化が加速します。

チョーキングは、新築から5～7年で発生することが多いです。
チョーキングが発生したら、高圧洗浄で白い粉を洗い流してから、塗装を行う必要があります。

3:クラック

クラックとは、サイディングにひび割れが入る現象です。
クラックは、サイディングの塗膜が劣化したり、地震や地盤沈下などの外的要因によって発生します。

クラックは、新築から7年以降に発生頻度が高くなります。
クラックは、放置すると雨水が浸入し、サイディングの腐食やカビの発生につながります。
軽度のクラックであれば、塗装で対応できますが、深刻なクラックの場合は、張り替えが必要になることもあります。

4:サイディングの剥がれ

サイディングが剥がれるのは、サイディングボード自体が劣化しているサインです。
剥がれは、チョーキングやクラックの放置によって起こることが多く、放置すると、雨水が浸入しやすくなり、サイディングの腐食やカビの発生につながります。

サイディングの剥がれは、新築から10年以上経過した住宅で発生することが多いです。
サイディングの剥がれが見られる場合は、早急に専門会社に相談し、修理または張り替えを行う必要があります。

□サイディング塗装と張り替えの比較

サイディングのメンテナンスには、塗装と張り替えの2つの方法があります。
それぞれメリットとデメリットがありますので、ご自宅の状況に合わせて適切な方法を選びましょう。

＊塗装のメリット

1:コストが安い

塗装は、張り替えに比べてコストが安価です。
サイディングの劣化が軽度であれば、塗装で十分に修復できます。

2:工期が短い

塗装は、張り替えに比べて工期が短いです。
短期間で工事を完了できるため、生活への影響を最小限に抑えられます。

3:デザイン変更が可能

塗装は、塗り替えることでデザインを変更できます。
ご自宅の雰囲気に合わせて、色や質感を変えることができます。

＊塗装のデメリット

1:劣化が進行すると効果がない

塗装は、サイディングの劣化が進行している場合は効果がありません。
サイディングの劣化が進行している場合は、張り替えが必要になります。

2:耐久性には限界がある

塗装は、経年劣化によって塗膜が剥がれてきます。
塗装の耐久性は、使用する塗料の種類や塗り方によって異なりますが、一般的には7～10年程度です。

3:下地処理が重要

塗装の仕上がりに影響を与えるのが下地処理です。
下地処理が適切に行われないと、塗装が剥がれやすくなるなど、思わぬトラブルが発生する可能性があります。

＊張り替えのメリット

1:耐久性が高い

張り替えは、塗装に比べて耐久性が高いです。
新しいサイディングボードに交換するため、長期間にわたって美観を保つことができます。

2:サイディングの劣化を根本的に解決できる

張り替えは、サイディングの劣化を根本的に解決できます。
サイディングの劣化が進行している場合でも、張り替えれば、まるで新築のように美しくなります。

3:断熱性能や遮音性能を向上できる

張り替えの際に、断熱材や遮音材を追加することで、断熱性能や遮音性能を向上させることができます。

＊張り替えのデメリット

1:コストが高い

張り替えは、塗装に比べてコストが高額です。
サイディングの劣化が軽度であれば、塗装で十分な場合もあります。

2:工期が長い

張り替えは、塗装に比べて工期が長いです。
生活への影響が大きくなる可能性があります。

3:デザイン変更が難しい

張り替えは、新しいサイディングボードに交換するため、デザインを変更することが難しい場合があります。
既存のサイディングボードと同じデザインのサイディングボードがない場合もあります。

4:古いサイディングボードの処分費用がかかる

張り替えを行う際には、古いサイディングボードの処分費用がかかります。
処分費用は、サイディングの種類や量によって異なります。

□塗り替えを成功させるためのポイント

サイディングの塗り替えを成功させるためには、いくつかのポイントを押さえましょう。
適切な準備と施工を行うことで、長期間にわたり、美しい外観を保つことができます。

1:適切な塗料を選ぶ

サイディングの塗り替えには、様々な種類の塗料があります。
使用する塗料によって、耐久性や価格、デザインなどが異なります。
ご自宅の状況や予算に合わせて、適切な塗料を選びましょう。

・アクリルトップコート

アクリルトップコートは、最も一般的な塗料です。
価格が安く、耐久性もそこそこあります。
ただし、紫外線に弱く、色褪せしやすいのがデメリットです。

・シリコン樹脂塗料

シリコン樹脂塗料は、アクリルトップコートよりも耐久性があります。
紫外線や雨水に強く、色褪せしにくいのが特徴です。
価格もアクリルトップコートより少し高めですが、耐久性を重視する方にはおすすめです。

・フッ素樹脂塗料

フッ素樹脂塗料は、最も耐久性が高い塗料です。
紫外線や雨水に強く、色褪せしにくいだけでなく、汚れも付きにくいのが特徴です。
価格も高額ですが、長期的に美観を保ちたい方にはおすすめです。

2:専門会社に依頼する

サイディングの塗り替えは、専門知識と技術が必要な作業です。
DIYで塗り替えを行うことも可能ですが、専門会社に依頼した方が、仕上がりが綺麗で、長持ちします。
また、専門会社を選ぶ際には、実績や評判を調べるようにしましょう。

3:下地処理をしっかり行う

サイディングの塗り替えでは、下地処理が非常に重要です。
下地処理が適切に行われないと、塗装が剥がれやすくなるなど、思わぬトラブルが発生する可能性があります。

下地処理には、高圧洗浄、シーリング、パテ処理などがあります。
専門会社に依頼する場合でも、下地処理についてしっかりと確認するようにしましょう。

4:塗料の乾燥時間を守る

塗料は、乾燥するまでに時間がかかります。
乾燥時間が十分に確保されないまま、次の工程に進めてしまうと、塗膜が剥がれやすくなるなど、仕上がりに悪影響を及ぼします。

塗料の乾燥時間は、塗料の種類や気温、湿度によって異なります。
塗料の乾燥時間については、専門会社に確認するようにしましょう。

□まとめ

サイディング外壁は、適切なメンテナンスを行うことで、その性能を長く維持し、美観を保つことができます。
この記事では、サイディング外壁の基礎知識、塗り替えのタイミング、適切な手法、塗り替えを成功させるためのポイントについて解説しました。

サイディング外壁の塗り替えを検討されている方は、この記事を参考にして、ご自宅に最適なメンテナンス方法を見つけてください。
長期的に住宅の価値を保ち、快適な住まいを実現しましょう。

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